2013年8月23日金曜日

ジョークや流行する話


3:44 ~

男が旅行先から家へ電話した
電話に出た兄に、彼は尋ねた
「何かニュースはないか?」
すると兄は
「お前の猫が死んだ」

彼は言った
 「そういう言い方はないだろ。穏やかに言え。例えばこうだ。
”猫はねずみを追いかけて屋根に上がった、そしたら脚をはさんだんで消防署へ知らせた。かけつけた消防夫が猫を助けて、降りるときに足をすべらせ、猫を落とした。だから病院へ運び、手を尽くした。
手術までしたんだが 手遅れだった。猫を救えなかった。”
そういう風に言うもんだ」
彼は兄に続けた
「お袋はどうしてる?」
兄は答えた
「ねずみを追いかけて屋根に上がった」


このジョークはいろんなパターンがあるけど。落ちを同じくして、もっと描写をこまかくしたり、日をまたいで段階を踏ませるものもある。

私が好きなのは、この振りの段階が、すごくアメリカンジョークっぽくって、兄が最後に皮肉のように答えるタイプのもの。
アメリカンジョークはコピペやその改変のように広まるが、日本に来てはあまり形を変えない。
ジョークを紹介する人が、ジョークに精通していないためだろうし。
それを見た人が、変えていいと思わないからだろうな。



私の好きだった流行話は、「赤い部屋」と言うもので、タクシーの運転手が、長い黒髪の不気味な女を乗せて、山奥でおろし、後をつける話だ。
自殺ではないかとの心配とは裏腹に、家につくと、男の中に違う興味がわいて一人暮らしの女の部屋を覗いてみたくなる。
そして鍵穴から中をうかがうと、一面が真っ赤の何もない部屋があるだけで、これも奇妙だとは思うが、彼女の姿も見つけられず山を降りる。
そして、ふもとのラーメン屋のオヤジに、こんなことが会ったと話をすると・・・って話

日本のジョークは流行るが、改変のされるたびにある程度よくなって行くものの、行き過ぎて流行ると、冗長になる節がある。その冗長さに、誰も異をとなえずに、そのまま広まることさえあるので悲しい。
つまり、この話の面白さがどこにあるかってことが分かってない。
いや、色々、おもしろさはあるだろうけど。自分がおもしろいと思うところはどこか。それがないんですよね。

だから、アメリカンジョークでも、落語でも。
面白さが分からない人と、どこが面白いか、何を伝えたいかを持っている人で話し方がどんどん変わってきたり、いいものを組み合わせたりするようになるのだと思います。

だから自分なりのおもしろさを組み合わせたものが。はじめに紹介したジョークです。
カプリコン・1で語られるこのジョークは、彼がジョークを言うところが落ちになっていながら、同時にもうひとつの収束への振りになっているところ。素晴らしい構成です。
作品中、彼がジョークが好きだという振りがあり、彼が朦朧としたまま、お気に入りのジョークを諳んじる時、観客は、彼の最後を予期するからです。




赤い部屋というお話は、怪談ではないですが、それと同列に語られることもあるようですね。
私はすごく好きで、これを超える話はなかなかでてこないと思ってるぐらいなんですけど。劣化されたものが伝わって、サイトなどに紹介されているのが悲しい。

今も調べてみましたが。
女の人の格好が、赤いコートを着ているだとか・・。そういうバージョンもあるそうですね。これって、そうとう落ちを台無しにしてると思うんですよね。なんで分からないんでしょうね。
また、滑稽さでいえば、彼女の髪の毛が真っ赤だとか、そばかすで顔が真っ赤だったとか、言っているようなもので。
そんな振りで興味をひくわけないじゃんって分からないのかな。

あと、不気味だから、あまり関わりたくないようにしてなきゃだめなんだよ。
女が美人だったから、話しかけまくったってパターンもあった。これも論外なんだよね。だって、落ちが成立しなくなるじゃん・・・。分かるやん。


あるタクシーの運転手が、ベロベロによっぱらった、真っ赤に髪を染めて、赤いコートを来て、赤いブーツを履いた、顔中が赤ニキビだらけの女を乗せた。

で、山奥までいって、鍵穴を覗くと、一面真っ赤な部屋をみるわけですよ。

(ちなみに、山に行かないで、アパートだってタイプもある。これは、一番論外。そしてドアの魚眼レンズを覗くらしい。
見えるかぁ!
ありえないだろ・・・。なんでアパートについていくんだよ。 山奥にいって、雰囲気があやしいから心配してついていう理由があるんだろ?)

そして、山のふもとのラーメン屋でオヤジと話す。

「おやじ、じつは今日こんなことがあってね」
「ああ、その人知ってるよ。彼女も大変だね、人目を避けるようにあんなところにすんでいるなんて。」
「いったいどういうわけなんです?」
なんでも彼女ね、病気で目が真っ赤だそうなんで。」

・・・
・・


ふーんで終わるわ。

あんだけ赤の要素があったら、鍵穴から赤い部屋が見えたところでふーんで終わるやろ。
部屋も赤なんやで終わるやん。

死ね。

アパートが論外っていったけど。もっとダメなのあったな。
それは、彼女が精神病患者だとかいう落ちのやつ。
なんでわかんねぇかなぁ・・・。

この話を面白くない要素だけでくみたてたらこうなるな。

・・・

あるタクシーの運転手が、ベロベロによっぱらった、真っ赤に髪を染めて、赤いコートを来て、赤いブーツを履いた、顔中が赤ニキビだらけの女を乗せた。
運転手の好みのタイプだったので、その女になんども声をかけたがつれない態度だった。
住宅街について、彼女をおろすと、運転手はストーキングをはじめた。
アパートの一室に彼女が入ったのを確認すると、ドアにある魚眼レンズの覗き穴で、部屋の中を見た。
すると、一面が真っ赤に染まった部屋が見えるだけで、彼女のすがたはどこにも見当たらなかった。

後日、タクシー仲間で幽霊を乗せただのと話で盛り上がっているところ、その運転手も話しに加わった。
すると、仲間の一人が言った
「おれ、知ってるよそいつ。目玉も真っ赤のやつだろ?」

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実は、その女性は精神病患者だったらしいのです。
覗き穴にうつっていたのは、彼女の真っ赤な目で、彼女はなぜか、覗き穴を覗いていたのです。

・・・
・・


死ね

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